time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~

突然、何の障害もなくなり、2人きりでいられる空間にあたしは違和感を感じていた。



これから豊とこうして肩を並べて生きてゆくのだろうか?



未来が描けないあたしは大切なものを取り戻しても、結局未来など描けそうにない。



一度手離してしまった未来への希望は簡単には取り戻せないってことかな。



「そういえば……祐樹さん。心配してるぞ。」



「帰ってきてるのか?」



祐樹とはあたしの兄貴。


兄貴と言っても血は繋がってないし、今となっては戸籍上も兄妹ではない。



昔、まだあたしが未来に希望を描いていた頃、親の再婚により一時的に兄妹になったあたしと祐樹。



「帰ってきてるも何も、お前が失踪して祐樹さんは留学をやめたんだ。」



「そうなの?」



「あぁ。」



失踪か……。



あたしが現実や未来から逃げたのは、失踪なんて名前で呼ばれているのか。
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