time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
あたしのせいで、祐樹も自分の未来を諦めたとしたならば…――


あたしは申し訳ない気持ちでいっぱいになる。


自分のことしか考えられないあたしは、多くの人を傷つけ、多くの人から幸せを奪ったんだ。



あの頃だってそうだった。



祐樹の気持ちなど知らずに、あたしは好き勝手して祐樹に迷惑をかけた。



そう……。



両親が離婚して、祐樹とは家族でも何でもなくなったはずなのに、あたしの保護者は祐樹となり、あたしは高校生活を祐樹と送ったんだ。


その殆どが豊と暮らしていたんだけど、祐樹は本当の兄貴のようにいつだってあたしを見守ってくれていた。


それなのにあたしは……



「それで、今祐樹は?」



「親父さんの会社で働いてるらしいぞ。」



「そっか……。」



「俺が家族の事でとやかく言えるような立場じゃねぇけど、会いに行ってやれよ。」



どの面さげて会いに行けるっていうんだよ。



あたしが祐樹の人生を狂わせたのに…――



豊の言葉には返事をせずに、あたしは床に視線を落とした。



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