time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
「秀!!」
膨れっ面のカナは秀を見つけると笑顔で駆け寄ってくる。
秀は俺の知らないカナを知っているんだよな。
こんなことにさえ敏感になってしまう。
「おぅ!そんなに勢い良く走ってこなくても逃げたりしねぇよ。」
「そうだけど……ここで会うとなんかあの頃みたいで。」
「確かにそうだな。」
お前もあの頃を懐かしく思ってくれているのか?
あんな最後だったから……
もしかしたら、お前の中であの頃は懐かしく思えるほどいい思い出ではないのかと思っていた。
「せっかく会ったのに悪いけど、俺あんまり時間ないんだ。」
「そうなんだ。」
「こっちこそ、わざわざ悪かったな。」
片手をあげると秀は車に乗り込み去っていった。