time～元暴走族豊×キャバ嬢カナ～
豊との関係に違和感を感じていても、あたしはそれを今すぐにどうこうする事は出来ない。


だって、どんな言葉をかければいいのかもわからないし、豊が何を思っているのかもまったくわからないから……


もともと、言葉の少ないあたし達は行動で示して行くしかない気がする。



「出かけるのか？」


日が落ち始めると身仕度をし始めたあたしに、豊は不満そうな声を出す。


「やらなきゃいけないことがある。」


こんな言い方をしたら大袈裟かもしれないけど、あたしには“ケリ”をつけなければならないことがある。


「やらなきゃいけないことってなんだよ？」


言葉を出すたびに、豊の眉間に皺が寄るのは何故なんだろう。


あたしはただ会話をしているはずなのに……


「マンションのこととか色々。」


「まだあの男と連絡取ってるのか？」


あたしに苛々し始めたのか、何度点けようとしても着火しないライターに苛々しているのか、豊の声は低くなる。


「連絡取れないから、探してみる。このままじゃ駄目だと思うし……」



自分から聞いておいて、あたしの返答には相槌も打たない豊の横を通り過ぎて、外へと出た。
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