time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
カナに連絡をしてみようかと、迷いながらPHSを手にした時、玄関のドアが開いた。
俺はとっさにテレビのリモコンを持ち上げ、視線をテレビへと向ける。
カナの帰りを待ち焦がれていたなんて思われたくなくて、玄関のドアが開いたことに気付かない振りをした。
俺はいつからこんなに小さな男になったんだか……
自分の行動にため息が漏れた。
「ただいま。起きてたんだ。」
「あぁ。」
ソファーに座っていた俺の足元に腰を降ろすカナ。
疲れているのか、崩れ落ちるように床に座ったカナはボーっとテレビを眺めている。
「浅葱には会えなさそう。」
「そうか。」
「文ちゃんから色々聞いて、混乱してる。」
あの男を探しに行くってのは、文さんの所に行っていたのか。
行き先がわかった俺は少しだけホッとして、カナの言葉に耳を傾けた。