time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
「アイツも心配なんだ。たまには連絡くらいしてやれ。」
「はい。」
俺はカナが消えた3年前から家族と翔以外とは殆ど会っていなかった。
姉貴は職場に押し掛けてきたから、何度か会ってはいたけど、会話らしい会話は3年近く交わしていない。
「で、本題だ。秀からなんとなくは聞いたが、親父さんとこ、うまくいってないんだろ?」
「はい。やり方が古いせいで、潰れる寸前ですね。いくら言っても親父は聞く耳を持たないし……」
「でも、お前は工場を潰したくないってわけか?」
「はい。」
コンコン
切りのいい所で部屋の扉がノックされた。
「秀です。」
「入れ。」
「失礼します。」と言いながら、部屋の中に入ってきた秀。
昔は一志さんとこんな関係ではなかった。
雇い主と雇われ者という関係を目の当たりにしたような気がした。
「今日は仕事じゃねぇ。お前も豊の隣に座れ。」
「若頭……ですが……。」
一志さんに何かを言おうとした秀は一瞬動きを止めて、大人しく俺の隣に腰掛けた。