time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
秀に会うと言って、出かけた豊が帰って来てから数日がたった。
本当に豊が帰ってきた。
あたしは玄関を開けた豊の顔を見て、そう確信した。
あたしの会いたかった豊が、やっとあたしの元へと帰ってきてくれた。
それは一時的なものなのかもしれないと思っていたけれど、そうではなさそうだ。
数日たった今でも豊はあたしの会いたかった豊のまま……
だからかな。
あたしはこのお腹の中に宿った命のことを言えずにいた。
このことを告げて、もしも豊が再び光を失ってしまったら……
その瞳に何も映さなくなってしまったら……
そう思うと怖かった。