time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
いや……
違うか。
豊を理由にしているだけで、怖いのはあたし自身だ。
時間がたつにつれ、あたしの中で不安が募っていったんだ。
あたしは温かい家族ってものをあまり知らない。
そんなあたしが母親になれるのかと……
この子にあたしと同じ……それ以上の思いをさせてしまうんじゃないかと。
不安で押し潰されそうだった。
“母親”という響きがあたしには重すぎたんだ。
だから、あたしの元に生まれてきても幸せにはなれないんじゃないか?
あたしの手で不幸へと導いてしまうかもしれない。
それならいっそのこと産まれる前に……
いくら考えてもたどり着く結論はそこだった。