time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~

「なんだよ。その驚きよう。やっぱり何かあるのか?」


「いや。突然だったから。家出していた奴がなんの前触れもなく帰るなんて言い出したら、驚くだろ?」


「まぁ、確かに。」


冷静を装いながら、あたしは泣き叫びそうだった。


なんで、このタイミングなんだよ?


今は一人になりたくない。


「で、どういう風の吹き回し?」


「きちんとしないと……仕事しないわけにもいかないし。お前とのことも、きちんとしたい。」


「そっか。」


あたしとのことをきちんとするって……


豊の言葉に深い意味はないはず。


ダラダラと同棲を続けることはあたしも望んでないし。


それを、きちんとしたいと言っているだけなのに、あたしの耳にはそうは聞こえない。


子供のことをきちんとするってふうに聞こえてしまう。

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