time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
一人残されたあたしは薄暗くなってきた窓の外を見ながら、ピッチを手にした。
一人でいたくない。
けど、あたしには行く場所がない。
明美の所に行けば、何か気付かれてしまいそうだし……
他の奴らは豊との繋がりがある。
こんな時、友達が少ないことを後悔するんだよな。
ため息を吐きながら、横になろうとした時、何故か文ちゃんの顔を思い出した。
あそこなら一人にならなくていい。
それに、文ちゃんになら言えるかもしれない……
あたしは立ち上がり、出掛ける支度をし始めた。
何故、文ちゃんなのか……
その理由なんてわからないけど、そう思ったら無性に文ちゃんに会いたくなった。