time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~

一人残されたあたしは薄暗くなってきた窓の外を見ながら、ピッチを手にした。


一人でいたくない。


けど、あたしには行く場所がない。


明美の所に行けば、何か気付かれてしまいそうだし……


他の奴らは豊との繋がりがある。


こんな時、友達が少ないことを後悔するんだよな。


ため息を吐きながら、横になろうとした時、何故か文ちゃんの顔を思い出した。


あそこなら一人にならなくていい。


それに、文ちゃんになら言えるかもしれない……


あたしは立ち上がり、出掛ける支度をし始めた。


何故、文ちゃんなのか……


その理由なんてわからないけど、そう思ったら無性に文ちゃんに会いたくなった。
< 364 / 398 >

この作品をシェア

pagetop