time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
チャリーン
ドタドタドタ
“EDUTILOS”に行けば、胸の辺りにつかえている何かが解決するような気がして、あたしは無我夢中で走った。
そして、そのままの勢いで店の中に走り込む。
そんなあたしを驚いた顔で見ている文ちゃんは、
「どうした?」
といつもと変わらない穏やかな口調で出迎えてくれた。
「どうもしない。」
乱れる呼吸を整えながら、定位置に座るあたしは言っていることがおかしい。
こんな風に駆け込んで店の中に入ってきたのだから、どうもしないはずがない。
文ちゃんのように不思議に思うのが普通だし、それに何もないと答えることはおかしなこと。
「なら、今日はいつもと違うな。」
「そうかもしれない。」
それなのに……
そんなめちゃくちゃなあたしに、こんな風に接してくれる文ちゃんはやっぱりホッとする。
“EDUTILOS”へ来たことは間違っていなかったと思えてしまう。