time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
「唐突だな。」
苦笑いしながら、そう言った文ちゃんはあたしを真っすぐに見つめ、
「良かったと思う。」
と言葉を続けた。
「そっか。」
以前、文ちゃんから聞いた家族のこと。
その話の内容的に文ちゃんが産まれてきたことを後悔しているかもしれないと思っていた。
でも、違うのか……
「でも、明日はそう思うかもしれないな。」
「えっ?」
「産まれてきたことを後悔した時期もあった。けど、今は後悔していない。だから、また後悔する日が来るかもしれない。俺にも先のことはわからないな。」
「それって結局はどっちなんだろう?」
「そんな結論は出せないさ。生き続けている限りは、どちらを思う可能性だってある。」
「確かにそうだけど……。」
「結論が欲しいか?」
心の中で思っていたことを文ちゃんに口にされて驚いた。
本当にあたしの心の中が見えているんじゃないかと疑ってしまう。