time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
「そうだね。結論が出るなら楽だね。」
「俺の中で一つだけ結論が出ていることがある。」
「産まれてきて良かったかってことについて?」
「あぁ。」
いつも話が長くなりそうだと、文ちゃんはあたしの隣に座るのに、今日はカウンターの中にある椅子に腰をかけた。
「聞かせて。」
「人間は辛いことや苦しいことがあって、現実から逃げだしたくなった時に産まれてきたことを後悔する。」
「確かに……」
あたしも産まれてきたことが間違っていなかったのかと考えていた時は、辛かった時だった。
「だから、本当にどう思っているかなんてわからないんだよ。自分の都合の良いように解釈するだけの話。」
「そんなもんかな?」
「そんなものだ。人間の感情や想いなどコロコロと変わる。変わって当然なんだ。」
なんだか、しっくりとはこないけれど、文ちゃんが言っていることはわかる。