time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
文ちゃんが敢えて“孤独”という言葉を逆さまに使ったこと。
聞いたわけではないけれど、その理由が少しわかる気がする。
感じた孤独を忘れることも消し去ることもできない。
でも、孤独を抱えながらでも幸せだと感じることはできる。
そう生きて行きたいという文ちゃんの願いなのではないかと……
あたしは後10分ほど歩けば、家に着くという辺りでピッチを手に取った。
家に帰ってからでも良かったのだけれど、何故だかこの空の下からメールを送りたかった。
“ハナシガアル。カエッテキテ。”
豊に宛てたあたしの想い。
送信ボタンを押してから、そっとお腹に手を当てた。