time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
「親父はそれでいいのかよ?」
俺は再度親父に向けて言葉を吐いた。
「カナさんを幸せにしてやれ。それと、お前にチャンスをやるのはこれが最後だ。」
テレビを見たまま、そう口にした親父がかっこよく見えちまう。
こんなふうに人を許し、受け入れられる男に俺もなりたいと思った。
一志さんの言うとおり、親父は格好良かった。
俺は立ち上がり、頭を下げた。
「ありがとうございます。宜しくお願いします。」
親父は返事などしてくれないが、もう十分だ。
言葉なんてなくたっていい。
俺のほうを見ていなくたって、親父は俺の気持ちを受け取ってくれた。