time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~

小走りでカナの待つ家へと向かう。


急いでいる時に限って、遠く感じるのは何故なんだろうな。


家まで後少しという所で、ガヤガヤと五月蝿い声が耳につく。



声は公園の前からで、そこには見覚えのある車が止まっていた。


チンピラ風の男達が数人、いちゃもんをつけている光景。


そして、そのいちゃもんをつけられているのが、やはり秀だった。


「てめぇら、何してんだよ?」


俺は道路を渡り、秀達のいる公園の前へと足を進めた。


「豊。」


そんな俺に驚いた秀はチンピラ達から少し離れ、俺の方へと近づいてきた。


「何揉めてんだよ?」


「こっちの話だ。色々とあってよ。」


少し乱れたスーツを整えながら、秀は煙草をくわえる。


「大丈夫か?」


「当たり前だろ。これも仕事だ。」


俺には関係のないことだと訴えかけてくる秀を見て、俺は気になったがこれ以上首を突っ込むのをやめた。


「じゃあ、帰るとするわ。」


「あぁ。」


片手を上げ、俺の元からチンピラの元へと戻る秀。


「話の途中で逃げてんじゃねぇよ。」


「悪い。」


口は出さないものの、何か気になった俺は遠目で秀達のやり取りを見ていた。

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