time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
「今更だ。確かに、今更って話だな。でも、俺もやっと冷静に考えられるようになったんだ。俺は後悔していない。静香に出会ったことも、静香を愛した事も……ただもう少しだけ時間が欲しかったけどな。」
話しながら笑みを浮かべる翔の顔を見ていられない。
泣きそうな顔で笑うな。
言葉にするのも辛い名前を無理して喋らなくていい。
俺はやりきれない気持ちを紛らわすために再び煙草に火をつける。
「なぁ。豊。カナちゃんは手を伸ばせば届く距離にいるんだぞ。意地張ってたって仕方ない。豊自身が後悔するだけだ。もう一度考えてみろ。俺はお前とカナちゃんが並んでる姿をもう一度見たいけどな。」
お節介な翔は言いたい事だけをいうと、勝手に事務所から出て行った。
俺はまだ何も言ってねぇよ。