time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
こんな世の中で沢山の事を抱えながら生きているけど、みんな少しずつ変わっていっている。
この世の中で生きていくために……
人は上手く生きるために変化していくんだ。
でも……―
俺は変われない。
きっと3年前と一つも変わってはいない。
目まぐるしく変わりゆくこの場所で俺の居場所はもう見当たらない。
変わらずにいれば、取り残されていくという事を初めて知った日、俺はアイツに会いに行く事を決めた。
仕事が終わり、シャワーを浴びる前に翔に電話をする。
緊張のあまり耳元のPHSが妙に冷たく感じる。
「あいよ」
「俺」
「おう。どうした?」
「今日、暇か?」
もし、翔が暇じゃないと言ったら俺は一生アイツに会いに行く事は出来ないだろう。
この決心がほんの少しでも揺らいだら、俺の弱さがまたアイツから遠ざかる道を選んでしまう。