time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
ピピピピッ



PHSが静かな空間に鳴り響く。



この何年かの間に、この国の技術は物凄い速さで進化を遂げた。



ポケベルなんてものが普及しだし、スナックでの始めての給料で買ったものはポケットペルだった。



箱型の小さな機械が文字を映し出す。



“イマカラアソボ”みたいに、相手からのメッセージを受け取るもの。



公衆電話などから打ち込むこの文字をどれだけ早く打つことが出来るかみたいな馬鹿なことを練習したのもついこの間の事なのに……



今ではPHSなんていう便利なものに変わっていった。



携帯電話が流行り出したが、値段が高くて手に入らない。



使用料金も普通の給料では高くて払いきれない。



そこで出てきたのがPHS。



学生でも持ててしまうほどお手軽な値段。



あたし達はこれをピッチと呼んでいた。

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