time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
ピッチの画面を見ると


“イマカライク”


送信相手は明美だった。



あたしの貴重な睡眠時間をいつも邪魔しやがってと思いながらも、一人でいなくていい安心感が心のどこかに芽生えている。



ドライヤーで髪の毛を乾かし、明美が来るのをソファーの上で寝転がりながら待っていた。




ピンポーン




「開いてる」



あたしは玄関に向かってそう叫ぶとガチャっという音と共に明美の足音が近づいてくる。




「いつも言ってるけどさ、メールは返信してくれる?」



派手なドレスを身に纏、明美があたしの顔を覗き込む。



真っ赤な口紅だけが顔から浮き出たように動いている明美の姿はいつ見ても異様な光景だ。

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