time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
「俺に用か?」



苛立ちを抑えるために再び煙草に火をつける。



「カナに会ったの?」


「あぁ。翔と店に行った」


「そっか……」



俺が知る限り、この男はこんなに穏やかに話す男ではなかった。


憎しみがあふれ出した表情を鮮明に思い出すことが出来るのに、今目の前にいる男はそんな表情はまったくしていない。


お前を殴っていた男と同一人物だなんて嘘のようだ。



「カナが変わってしまった理由を知ってる?」


「あ?」


変わってしまった……


何故かその言葉に反応してしまう。



「カナと会ったなら感じただろ?どうしてあんな風に変わったのか……理由が知りたい。そして、昔のカナに戻してやりたい」



この男はまだカナに好意を寄せているのか?


それならば、さっきの光景を見ればこんな言葉なんて言えないはず。


ボーっと突っ立ている俺に「どうなんだよ!」と掴みかかってくる宗。


「心当たりはある。でも、俺の口からは言えない。それに…アイツにも聞くな。まだ傷が癒えていないとしたら…――」


そこまで言って口を閉ざした。
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