time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
「癒えてないとしたら、なんなんだよ?!」
「離せ」
宗がしつこく、纏わり付いてきたが俺は構わず、力ずくで宗から逃げた。
「おい!逃げんな!」
癒えていなければ……
お前は本当に姿を消してしまうかもしれない。
最後まで言葉を続けられなかったのは、言ってしまえば現実のものとなってしまうような気がして…――
怖かった。
変わったと言われようと、男がいようと、この街で生きていて欲しかった。
俺が見上げた空の下にはお前にいて欲しかったんだ。
お前が去っていったあの日から、俺は空を見上げるのが癖になったみたいだ。