time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~
俺は布団を頭に被せ、再び横になった。
「宗から連絡が来たんだよ。豊に逃げられたって。ホントか?」
コイツは何を聞きたいんだ…――
逃げたと答えれば満足か?
俺は深く息を吐き、「本当だ」と答えた。
「カナちんに男がいたんだってな。豊はそれでノコノコと引き下がってきたんだろ?そして、ショックのあまり寝込んでるって訳か。情けない。あ~ホントに情けない男」
「てめぇ~もういっぺん言ってみろ!」
起き上がるのと同時に翔の胸ぐらを掴んだ。
「やればできるじゃん」
今にも殴りかかりそうな俺を目の前にして、翔は嬉しそうに笑ってる。
「豊はそうでなくちゃ。男とのキスシーン見たくらいで引き下がるなよ。お前はそんな情けない男じゃないだろ?欲しいなら力ずくで奪って来い。俺は情けない元総長見たくねぇよ。じゃあ」
翔はそれだけ言うと、部屋を出て行った。
翔に言われた言葉が突き刺さる。