time~元暴走族豊×キャバ嬢カナ~

俺は布団を頭に被せ、再び横になった。


「宗から連絡が来たんだよ。豊に逃げられたって。ホントか?」



コイツは何を聞きたいんだ…――


逃げたと答えれば満足か?


俺は深く息を吐き、「本当だ」と答えた。



「カナちんに男がいたんだってな。豊はそれでノコノコと引き下がってきたんだろ?そして、ショックのあまり寝込んでるって訳か。情けない。あ~ホントに情けない男」


「てめぇ~もういっぺん言ってみろ!」


起き上がるのと同時に翔の胸ぐらを掴んだ。



「やればできるじゃん」


今にも殴りかかりそうな俺を目の前にして、翔は嬉しそうに笑ってる。



「豊はそうでなくちゃ。男とのキスシーン見たくらいで引き下がるなよ。お前はそんな情けない男じゃないだろ?欲しいなら力ずくで奪って来い。俺は情けない元総長見たくねぇよ。じゃあ」


翔はそれだけ言うと、部屋を出て行った。


翔に言われた言葉が突き刺さる。
< 94 / 398 >

この作品をシェア

pagetop