国王陛下は無垢な姫君を甘やかに寵愛する
「ユリウスさま、いったい……」
ぐったりと意識のない娘を抱きかかえたユリウスは甲板に横にさせる。
ふたりともぐっしょり濡れており、ジラルドは驚くばかりだ。
「アローラを呼べ。他の者に風呂を用意させろ」
この調査で侍女頭であるアローラを乗船させていた。ジラルドはアローラを呼び、すぐに他の召使いに指示を出した。
この帆船でゆいいつ風呂に入れるのはユリウスとジラルドだけだ。他の者は布で身体を拭いている。
「ジラルド、医師を呼べ」
国王の専用船には万が一に備え、医師も乗っている。
ユリウスはルチアを抱き、浴室へ運ぶ。
アローラと、男の召使いたちが風呂へ湯を入れており、まだ半分も入っていないが、娘の身体が冷え切っているのをユリウスは感じており、服を着たままの娘を風呂にいれた。
召使いたちはいそいそと、湯がいっぱいになるまで注ぎ足した。
「あとはお前が娘の身体を温めてくれ」
「かしこまりました」
四十代前半のアローラは丁寧に頭を下げた。
(なんだろう……温かくて……気持ちいい……)
ルチアはこの気持ちいい感覚に身を任せていたが、次の瞬間ハッとなり目を開けた。
「気がつきましたか」
ルチアを覗き込むようにして見ていたアローラは目を開けた娘に安堵する。
「わたしっ!?」
ガバッと身体を起こすと、自分が裸だということに気づき小さく悲鳴をあげる。
「ど、どういうことなんですか!?」
「アドリアーノ候の命令ですから」
屈んでいたアローラは立ち上がり、後ろを向くと大きな布を手にする。
「ア、アドリアーノ候……?」
(あの人の名前……?)
沈んでいく銀色の髪をした美しい青年を思い浮かべる。
「ここは……あとから来た船ですか?」
アローラは大きな布を開いて、ルチアに出てくるよう言う。
「そうです」
手早くルチアの身体を布でくるむと、水滴を拭っていく。
(もしかしたら、そのアドリアーノ候という人に会える……?)
ここまで世話を焼いてくれたのだから、話を聞いてもらえるのではないかと、ルチアは期待する。
ぐったりと意識のない娘を抱きかかえたユリウスは甲板に横にさせる。
ふたりともぐっしょり濡れており、ジラルドは驚くばかりだ。
「アローラを呼べ。他の者に風呂を用意させろ」
この調査で侍女頭であるアローラを乗船させていた。ジラルドはアローラを呼び、すぐに他の召使いに指示を出した。
この帆船でゆいいつ風呂に入れるのはユリウスとジラルドだけだ。他の者は布で身体を拭いている。
「ジラルド、医師を呼べ」
国王の専用船には万が一に備え、医師も乗っている。
ユリウスはルチアを抱き、浴室へ運ぶ。
アローラと、男の召使いたちが風呂へ湯を入れており、まだ半分も入っていないが、娘の身体が冷え切っているのをユリウスは感じており、服を着たままの娘を風呂にいれた。
召使いたちはいそいそと、湯がいっぱいになるまで注ぎ足した。
「あとはお前が娘の身体を温めてくれ」
「かしこまりました」
四十代前半のアローラは丁寧に頭を下げた。
(なんだろう……温かくて……気持ちいい……)
ルチアはこの気持ちいい感覚に身を任せていたが、次の瞬間ハッとなり目を開けた。
「気がつきましたか」
ルチアを覗き込むようにして見ていたアローラは目を開けた娘に安堵する。
「わたしっ!?」
ガバッと身体を起こすと、自分が裸だということに気づき小さく悲鳴をあげる。
「ど、どういうことなんですか!?」
「アドリアーノ候の命令ですから」
屈んでいたアローラは立ち上がり、後ろを向くと大きな布を手にする。
「ア、アドリアーノ候……?」
(あの人の名前……?)
沈んでいく銀色の髪をした美しい青年を思い浮かべる。
「ここは……あとから来た船ですか?」
アローラは大きな布を開いて、ルチアに出てくるよう言う。
「そうです」
手早くルチアの身体を布でくるむと、水滴を拭っていく。
(もしかしたら、そのアドリアーノ候という人に会える……?)
ここまで世話を焼いてくれたのだから、話を聞いてもらえるのではないかと、ルチアは期待する。