国王陛下は無垢な姫君を甘やかに寵愛する
「友達も嬉しそうでした。な、なにをしているんですかっ?」

 
ユリウスは空色のドレスシャツを脱いでいる。

ジョシュの上半身は頻繁に目にしているが、彼に劣らず綺麗な筋肉がついている身体にルチアは慌てて後ろを向く。

「君はいつも美しい身体の線を見せているのかい?」
 
ドレスシャツをギュッと水滴を絞り、ルチアの肩に羽織らせて、振り向かせる。
 
そんな風にされると、自分の身体の線をさらしてしまっていることを意識してしまう。
 
上半身裸のユリウスをまともに見られないルチアはうつむいたままだ。

「わたし、着替えてきます」

「それなら船で風呂に入るといい」

「着替えがないので。走って帰るので、これはいいです」
 
ルチアは身体に張り付いているドレスシャツを脱ぐと、ユリウスに返す。

「ルチア?」

「こんなに高価な服になにかあったら申し訳ないので」

「これの一枚や二枚どうってことない。返さなくていいから。ちょうど君の上着代わりになる」
 
ユリウスはもう一度ルチアに着せた。

「着替えたら戻ってきてくれるね? 今日はまだ終わっていない。夕食を一緒に食べるまで」
 
ルチアはコクッと頷き、家に向かって走り出した。


夕食は島の男が採ってきた魚と、肉料理のルチアは今まで食べたことがない豪華な料理だった。魚は美味しそうなソースがかかって、いつもとまったく違った味わいだ。
 
毎日の食事には絶対に出てこない味付けに、ルチアは舌鼓をうっていた。

甲板の上での夕食。テーブルの上にはロウソクが置かれ、島で咲いている花を添えている。


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