神にそむいても
「ねぇ、どこに行くの?」
すぐ前を皇子と並んで歩いてる姫にきく。
「すぐ近くの山よ」
「そうなんだ」
現代の大阪の土地勘もないし、ましてやこの時代。
すぐ近くなんて、身を置いてる屋敷からどのくらい歩けばいいのか全く見当もつかない。
周りを見ればみんな笑顔。
今回、多分この時代の人にとって
今からすることは娯楽のひとつなんだろうな。
それにしても、姫はすぐ近くって言ってたけど。
もう多分二十分は歩いてると思うんだけど、まだ着かないんだけど。
出発からずっと、みんな楽しそうに談笑してる。
ていうか。
この時代の人たちって歩くの早くない?
しかも、歩きながら会話してるのに、全然息が切れてないんですけど。
「大丈夫ですか?」
ほんの少し後ろを歩いていた秋保さんが声をかけてくれる。
「うん……」
大丈夫じゃないけどね。
「もう少しですので」
ホントかよ!
「……はい」