神にそむいても


「姫!姫!」

私たちがある程度摘み終えてのんびりしていると、
皇子が片手に鳥の首をつかんで戻ってきた。

その鳥には体の部分に矢が刺さっていてまったく動かない。

「今日の戦利品だ!」

「さすがお兄さま!素晴らしいわ~」

姫の瞳がキラキラと輝いてる。
皇子も姫の反応に気をよくしてる。

「皇子、さすがでごさいます」

「本当。皇子は何をしても才能をいかんなく発揮される」

「素晴らしいですわ~」

「本当に」

うたさんが姫に追随すると、
他の人も口々に皇子を褒めたたえるもんだから、
皇子がすっかり有頂天になってる。


そんな中、私ひとりだけなんにも言わないから、皇子の視線が私に向けられる。

「どうだ、すごいだろう」

わざわざ私に獲物を見せつける。

「……え、えぇ、すごいです」

わざわざ言わせておいて、さも当たり前だと言わんばかりに笑う。

「お前の国に俺のような素晴らしい男はいるか?」

「……さぁ、どうでしょう?」

私は首をかしげた。
一瞬浮かぶのは智のこと。

もちろん、私たちは狩りなんてしたことない。

でも、智はなんでも器用にこなす。
運動だって勉強だって。

きっとこの時代の人間だったら、間違いなく皇子と肩を並べる人物になってるはず。


「ふふん、どうせおるまい」

負け惜しみでも言ってるように感じたのか、
鼻で笑って私の言葉を否定し、勝ち誇ったカオで私を見る。

ムッカ!!


「よし、帰るぞ!今夜は宴だ!」

みんな皇子の言葉をきいてわぁっと色めきだった。



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