神にそむいても


皇子の宣言した通り、夜は宴会になった。


多分、私が今食べさせてもらってるものは
この時代の人の食事にしては最高級なんだろうし、
私が食べられないようなものはほとんど出ない。
それなりに食べられる。

だけど、私はやっぱり現代人。

お母さんの作った家のご飯が食べたい。
たまにコンビニやファーストフードが食べたい。
パンが食べたい。スイーツ食べたい。


はぁ~。
これが夢なら早く醒めればいいのに。

だけど、信じられないけど、
もしかしたらこれって現実なのかなとか思いつつある。

もう私の知ってる人には会えないのかな。


浦島太郎は自分の村に帰った時、時間が随分と経っていたみたいだし、
戻ってきた時に愕然としたらしいけど。

私がもしその立場になったらどうしよう。

もしかしたら目が醒めた時に誰も知ってる人がいなかったら?

智も当然いない世界。
あぁ、考えただけでぞっとする。


今智はどうしてるんだろう。

智に逢いたい。

もしも仮に智がこの時代に一緒にきていたら、
それだったらこの時代でも私は生きていける。

智さえいれば、どんなところだって生きていける。

それに、もしこの時代で智とふたりなら、
お互いしか私たちしか知ってる人がいないワケで。

それなら、私は勇気を出して智に伝える。
智が好きだって。


でも、いくらそう願ってみたって、現実は私はこの世界に独りぼっちなんだ。



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