神にそむいても
そうして私がつれてこられたのは
こないだ狩りに行った山だった。
え!?
「智!?」
三メートルくらい先、
そこには縄につながれ自由を奪われた智がいた。
私の声に反応した智がこちらを見て目が大きく見開いた。
うん、間違いない!
智だ。
「美姫!?」
「やはり、お前たちは知った仲だったか」
皇子はほくそ笑んでる。
「智!!」
慌てて智のもとに駆け寄ろうとすると、
それを皇子の使いたちがふさいだ。
「ちょっと!どいてよっ!!」
通せんぼして行く手を阻む。
皇子がゆっくりと歩み寄り、やがて智の前に立った。
「美姫!」
皇子が私を呼ぶ。
男たちの間からかすかに見える皇子の姿。
「はい!」
「こいつもお前と同じように質問に対して殆ど知らぬ存ぜぬだ。
美姫、お前は俺たちを欺こうとしておるまいか?
こいつは何処ぞの国から送られてきたのではないか?」
言い終わると皇子は腰に身につけていた刀を抜き、智の顔に付きつけた。
「やめてよ!!」
自分でも驚くほど悲痛な声が出た。
当の智は全く動じていない、
それどころかじっと皇子の目を睨むようにして見つめ返してる。
「姫とめてよっ!」