神にそむいても


「ふふふふふふ」

振り返ると涼しい顔をした姫。

私は慌てて駆け寄り、懇願するように彼女を揺さぶる。

だけど、姫は急に笑い出したから、
まるで気がふれたのかと思って背中に冷たいものが落ちる。


「ははははははは」

だけど、なぜかそれに呼応するように皇子も笑い出す。

は!?

理解できないのは私だけじゃないようで、
ふたりが呼応するように笑っているのを他の人間はみんなポカンとしてる。
もちろん、智も。

なんなの!?
なんなの、このふたり!


皇子は刀をおさめる。

皇子の顔を見ると、笑みだけを浮かべたまま、
だけれども確実にその表情には張りつめた空気みたいなものが混じっている。



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