神にそむいても
その夜、智は皇子と一緒に現れた。
「智!」
思わず智に抱きついた。
智が力強く抱きしめてくれるのが本当に心地いい。
「ふふ。美姫がこんなにも情熱的な人とは思わなかったわ」
「ハハ!そうだな」
皇子も姫も少しだけあきれてる。
うん、私だってこんなに自分に甘い部分があったとは思わなかったよ。
でも、おさえていた分、おさえなくてもいいんだとわかった反動かな、
こんなにも感情があふれてとまらない。
……ふたりのこともうなにも言えないな。
ん?
しばらく智の腕の中に顔をうずめていたけれど、
やがて顔を上げると智が気まずそうに視線を泳がせてるから、
ゆっくりと後ろを振り返る。
わわわ!
慌てて、智に視線を戻した。
だって、姫と皇子がこっちが恥ずかしくなるようなキスをしてた。
「と、智っ!私の部屋いこっか」
「お、おぅ!」
私たちはそそくさとその場をあとにした。