神にそむいても
「はいはい、みんなの意見はあとでゆっくりきくから。続けるわよ」
みんなが黙ったのを確認し、センセーは小さくうなずいてから口を開いた。
「そして、彼女は夫である孝徳天皇よりも兄の天智天皇にべったりでした。
ちなみに天智天皇はまだ即位はしていないから、この当時は中大兄皇子(ナカノオオエノオウジ)ね」
「へぇ、そうなんだ」
「ふ~ん」
方々で小さく反応の声が上がる。
「それで、孝徳天皇がこんな歌を残しています」
再びホワイトボードにセンセーが書き出したのは
「鉗(カナキ)着(ツ)け
吾(ワ)が飼ふ駒は
引き出せず
吾が飼ふ駒を
人見つらむか」
という一首。