神にそむいても


そうして、秋保さんとともに男になかば強引に連れてこられたのは
天皇や平安貴族とかの住まいとして歴史の資料集なんかで紹介されてるような大きな建物。

帝がいる場所ってことはここって宮中?

板張りのだだっ広い部屋に通された。

部屋には奥のほうに、古代中国の皇帝が座ってたような豪華なイスが置いてある。

秋保さんは部屋の外で待ってくれていて、私のすぐ後ろには阿倍さんが控えてる。


「おぉ、姫よ!!」

やっぱり……!

声を弾ませて部屋に入ってきたのは、
あの夢に出てきた気持ち悪いオジサンだった。

その人はイスにどっしりと腰かける。


「ん?どうした?
 なにかワシの顔についておるか?」

元々細い目がニヤついて線になり、気持ち悪さを増幅させてる。

しかめっ面になりそうになってるのを自覚して、
私は一生懸命に笑顔を作って首を横に振った。


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