神にそむいても


「元気にしておったか?」

「………」

なんて答えればいいの?
声は私と姫あまり似てないし。

「帝。姫はお体の調子が思わしくなく、声が出ないそうです。
 付きの者が申しておりました」

コクコク。
私は何度もうなずく。

ナイスフォロー。グッジョブ!
きっとこの人も必死なんだろうな。

「おお!それはそれは可哀想に。
 そのような中、ワシに会いに来てくれたのか?」

いや、アンタが来いって言ったんじゃないの?

「はい、随分と顔を見せておらず申し訳ないと
 付きの者に姫はおっしゃっていたそうでございます」

はぁ?
絶対それ言いすぎだからっ!

姫、怒り狂うだろうなぁ……。

「そうなのか?」

ニヤニヤニヤニヤ、キモいんだけど。
ヌメッとしててカエルみたい。

私はうなずくのがやっと。


「帝、やはり姫のお体にさわります故、
 付きの者から早く帰っていただくように言われておりますので、
 今日のところはこのあたりで……」

「おお、そうじゃな」

相変わらずニヤニヤしていたものの、もう姫が帰るのがさみしいと見える。
少しだけ悲しそうに私を見てる。

だけど、気持ち悪さはちっとも軽減されない。
それどころか、トリハダが……。


「姫、今日は久しぶりに会えて嬉しかったぞ。
 ……お主、 ますます美しゅうなって」

ゾッとした。

どう見ても、伯父さんが姪っコを見る目じゃなかった。
オヤジが女性をいやらしい目でなめ回すように見てくる。

私は乾いた笑みを貼り付けるのが限界だった。


「さっ!姫行きましょう」

「また体調が整ったらば会いに来なさい。楽しみにしておるぞ」

ニヤ~として見てるから、背筋に寒いものが走る。

私はテキトーに笑い返すのが精一杯だった。


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