神にそむいても
「なにそれ!」
帰ってから姫に帝とのやりとりを伝えると思った通りたいそうご立腹。
「今度阿倍が来たら追い返してやるっ!」
本当に姫がこんなに怒るなんて、
よっぽどあの伯父さんがキライなんだろうな。
まぁわかるけど。
「あの人、気持ち悪かったでしょう?」
ブフッ!
姫ストレートすぎる。
わかる、わかるけど。
「姫っ!」
うたさんがさすがにいさめようとする。
「うただってそう思っているのは分かっているのよ」
「姫~」
どうやら図星らしい。
うたさんは言い当てられて明らかに動揺してる。
「美姫、遠慮しないで正直におっしゃい」
姫がにらみをきかせるから、
うたさんは眉間にシワを寄せて口を真一文字に結ぶ。
「えっと、その、姫の意見に同意します……」
「でしょう!
本当にあの人気持ち悪いんだからっ」
伯父さんは姫にとってはあの人扱い。
だけど、まぁわかる、姫の気持ちは痛いほど。
「姫、もうそれくらいに……」
「……ふんっ」
姫はうたさんの制止に渋々黙った。