神にそむいても


「美姫と家族になりたい」

ん?

私と智は兄妹だし。

この時代のいわゆる通い婚の条件はクリアしてるから、
夫婦として認めてもらえてるはず。

私は首をかしげた。


「美姫との子供がほしいんだ」

はっきりとした口調で言い切る。

驚いたけど、それ以上に喜びがあった。


「美姫はどう思う?」

「私も智の子供がほしいっ」

「サンキュ」

智はぎゅっと抱きしめてくれる。


「……もう本当に帰れなくなると思うけどいいのか?」

私はうなずいて、

「だって、戻ったら智とこんなふうに過ごすこともできなくなるもん。
 そんなのもうやだよ」

って言いながら思わず涙ぐんでしまった。


「そうだな」

つぶやくと、智は私にそっとキスを落とす。

それは段々と息の仕方も忘れるくらい激しいものになった。


私と智はこの世界で生きていくんだ。
現実ではかなえられなかったことをかなえるんだ。


その夜、智は初めて私の中で果てた。


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