神にそむいても


翌日。

「お母さま……」

いつものように姫と会話を楽しんでいると、
一人の中年女性が現れて姫が驚いたようにつぶやいた。

姫がお母さまって言ったってことはもしかすると皇極天皇?
ということは孝徳天皇の妹?


姫のひざの上で寝ていたミケが庭に行ってしまった。

その女性はミケのことが好きではないのかもしれない、
ミケの様子を厳しい目で見つめていた。

やがて、姫へと視線が向けられる。

表情からはなにを考えているのかうかがい知れない。
だけど、人間の本能なのか、この人はあまり好きではないと感じる。


「姫、元気にしていましたか?」

「えぇ……」

「兄上からはあなたが体の調子を崩していると聞きましたが、」
って言いながら私を厳しいカオで見て、
「この者を行かせたのではありませんか?」
とイヤミっぽくきく。

兄上?
昨日のことを言ってるってことは孝徳天皇のこと?

ってことはやっぱりこの人皇極天皇か。

確かに似てる。
姫と母娘だってよく見ればわかる。



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