神にそむいても
翌朝。
姫は昨日皇子に会えたのに会う前よりさらにふさぎこんでた。
食事をとろうともせず、うたさんもその姿にショックを受けている。
「姫と皇子、昨日なにかあったんですか?」
「えぇ、まぁ……」
廊下からそっと姫の様子をのぞいてたうたさんに声をかけると
奥歯にものがはさまったような言い方をする。
「皇子に別れでも告げられたの?」
そんなこと考えたくないけど。
あんなふさぎこみ方、それくらいしか考えられない。
「い、いえっ」
うたさんの目が泳ぐ。
「そうではございません。美姫さま、ご勘弁をっ。
これ以上、私の口からは申し上げられませんっ」
うたさんは床に頭をこすりつける。
それ以上うたさんにきくのはかわいそうになって、姫の部屋に入った。