神にそむいても


「でも、私はお兄さまと只の兄妹なんて今更戻れないわ、絶対に。
 ねぇ美姫。私はどうすればいいの?」

姫の気持ちも皇子の気持ちも痛いほどわかってしまう。

私と智は姫と皇子の立場とは違う。

だけど、私たちも兄妹だから。
苦しいくらいわかってしまう。


本当にどうすればいいの?

私と智は、姫と皇子はどうすればいいの?

私たちは幸せになっちゃいけないの?

ねぇなぜなの?


「美姫……」

返す言葉がなくて呆然としてると、
とうとう姫が子供のようにわんわんと泣きじゃくるから、
私も泣くしかなかった。


ねぇ神さま。

なぜ同じ両親から生まれてきた私たちだけが
こんなにも苦しまなければいけないんですか?

どうして母親が一緒というだけで
この時代も罪に問われるのですか?


ねぇ神さま、教えてください。

この世界に私と智が堕ちたのは
暗にそれを知らしめたかっただけなのですか?

ねぇ神さま、どうか教えてください。


その夜、皇子は来なかった。

そして、智も姿を見せなかった。



えらべない道 終


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