神にそむいても


くすぐったい……。

ハッとして目を覚ますと、ミケが顔をスリスリしていた。

智は!?


急いで廊下に出ると、秋保さんが控えていた。

「おはようございます」

床につきそうなくらい丁寧に頭を下げてくれる。

「おはようございますっ。
 智は?智来ました?」

秋保さんは頭をゆっくりと上げて、
「……いえ、見えませんでした」
と表情を変えずに事実だけを教えてくれた。

「そっか」


外はもうかなり明るい。
今は初夏だから、多分時間にすると五時くらいだと思う。

私、いつのまにか寝たんだ……。


智は夜が更けても結局現れなかった。

昨日は姫と皇子のことがあったから、ただでさえ心細くて智に会いたかったのに。

智に会えなかったのは再会して以来初めて。



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