神にそむいても
「兄上が姫を妻にとおっしゃっている事は
あなたもあの日話を聴いていたのでご存知でしょう」
私が初めてこの人と会った日、
確かに孝徳天皇が姫をお嫁にほしいって言ってた。
そして、孝徳天皇から姫をお嫁に出さないなら
皇子は追放すると言われてることも知ってる。
おそらくはそのことを私が知っていることぐらい把握しているのかもしれない。
「……はい」
「あなたに兄上の妻になっていただきたい」
えっ!?
はぁ!?
えぇ!?
自分でもマヌケなカオをしてると思う。
皇極天皇にフッと鼻で笑われた。
「あの子の代わりにあなたが
兄上の妻になって欲しいと言っているのです」
口の右端をクイッと上げる。
え!?
マジで?
本気で言ってんの?
思わず眉間にシワを寄せて、
多分あからさまにイヤそうに私はしてたんだと思う。
ギロリ、鋭い視線。
身がすくむ。
目が本気だ。