神にそむいても
「美姫大丈夫?」
姫の部屋に行くと心配そうに駆け寄ってきた。
姫の気持ちがあたたかくて泣きそう。
少し上を見る。
姫と目が合わないように、涙が出ないように。
「姫、お話があるの……」
「話?」
私たちはその場に腰をおろす。
「うん……」
私はうつむいた。
「私ね、お嫁に行く」
「え?どうして?
美姫は智と結婚してるじゃない?」
「帝の」
「え?」
「だ、だから、帝の」
「どうしたの、美姫」
顔をのぞきこんでくる姫はビックリしていて、
私の意図が飲み込めていないみたい。
それもそうだ。
いきなりこんな話をされてすぐに状況を飲み込めるはずがない。