神にそむいても


「美姫、私に気を遣う必要はないのよ?」

哀しそうにしてる。

姫がまったく関係ないとはいえないけど、
姫に自分のせいだとは思ってほしくない。

「違うの。姫に気を遣ってなんかない!」

「美姫……」

「今日皇子来るの?皇子が来たら話して」

「……本当に美姫はそれでいいの?」

いいワケないじゃん!
だけど、智が!

喉元まで出かかった言葉を必死で飲み込む。


「うん、いいのいいの。
 私、智に捨てられたんだし、帝のお嫁さん?
 智のお嫁さんなんかよりすごいもん」

「美姫、頭を冷やして?」

姫は苦痛に顔をゆがめてる。

そんな顔をされたら、心にしてるフタがとれてしまいそうだよ。

もうガマンの限界。
泣き顔を見られたら困る。


私はプイッと顔をそむけ、
「私はいたって冷静だよ。とにかく私が帝のところに行くからっ!」
と言いながら立ち上がり、そのまま部屋を飛び出す。

「美姫!待ちなさい!」

姫の言葉を無視して部屋に戻った。


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