神にそむいても


心に引きずられないように顔を引き締める。

「でも、私と智は先日から段々と気持ちがすれ違うようになっていました」

姫が驚いたようなカオで私を見る。

「それは思い過ごしなのでは?
 智は毎夜美姫に会いに来ていたのですし、
 行方が見えなくなったあの夜だってこちらに向かっていたというではありませんか。
 毎日あなた方を見ていた私にはとてもそのようには見えませんでした」

「だけど、私と智にしかわからないことはたくさんあります。
 姫と皇子だってふたりにしかわからない想いがたくさんあるでしょう?」

「えぇ、まぁ」

「そういうことです」

「……そうですか」

姫はがっくりと肩を落としてそれ以上は口をつぐんでしまった。

私はそんな姿になんともいえない気持ちをひきずったまま、
とぼとぼと自分の部屋に戻った。



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