神にそむいても
「美姫さま。私、少し席を外します故」
この部屋に着いてから少し経った頃、
そう告げた秋保さんが廊下に出ると
「きゃっ」
と小さな声を上げ、慌てて口元を抑える。
ん?
えぇ!?
皇子が足音ひとつ立てずに中に入ってきた。
私も思わず声を上げそうになって、
皇子から「静かに」と言われて口元を抑える。
驚いてる私に顔色ひとつかえずにいる。
てか、この人、足音立てずに行動できるんだ。
姫んちでいっつもドタドタいわせて現れるから。
なんてどうでもいいことを思ってしまった。
てか、なんで?
どうしたんだろ。