神にそむいても


そして、智と再会した山のふもとまでやってきた。

ここでようやく皇子は歩調をゆるめる。


「おそらくここまで来れば、当面は大丈夫であろう」

そう言いながらも、周りを警戒してる。

「最初に倒れていた場所で智を待たせている」

この世界で再会した場所。
そこで、智と会えるんだ。

泣きそうになるのをぐっとこらえる。
今はまだ泣かない、絶対に。


段々と近づいてくる。

早く早く。

気持ちばかり焦って、全然体は言うことをきかない。


「美姫、そんなに焦ると転ぶぞ」

皇子も軽口をたたく余裕がある。
表情も幾分やわらいでる。


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