神にそむいても


見えた!!

「智!!」

智は皇子のお付きの人とふたりでいた。

私の声に気づいてこっちを見て、
目がみるみるうちに大きくなる。

「美姫!!」


私と智はお互いに駆け寄って抱きしめ合った。
智の匂い。

回した手で背中をなでる。
ちゃんと、ちゃんと智だ。


「智だ」

「うん、美姫だな」

私たちは顔を見合わせて笑った。

こんな時に。
ううん、こんな時だからこそ?
キスしたいって思ってしまう。

じっと智を見てると、
キモチが通じたのか、智もそう思ってくれてたのか。

私たちはそっとキスをした。



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