神にそむいても
「感動の再会の所申し訳ない」
皇子の声が笑ってる。
智とこの世界で初めて出会った時のことを思い出した。
パッ。慌ててお互いから離れる。
智も思い出したみたいで、ふたりで顔を見合わせて笑った。
「追っ手が来ている可能性が高い」
皇子の真剣みを帯びた口調。
私たちはお互いの顔を見てうなずき合い表情を引きしめる。
「このままひたすらにまっすぐに進めば、俺の使者が待っている。
その者に後の事は全て任せておる」
皇子は私と智をじっと見つめる。
「お前たちは俺たちの分まで幸せになるのだ」
私と智は大きくうなずいて頭を下げた。
「さあ行け」
「ありがとうございました」
「ありがとうございました」
私たちはどちらからともなく手をつなぎ、皇子に背を向けた。