神にそむいても


ききたいことはたくさんあった。
たくさんたくさんたくさんあった。

多分智も同じ。

でも、今は逃げなきゃ。
皇子が言ってたように、皇子の使いの人のところまで。

だから、私たちはほとんど無言のまま走った。


皇子に言われたまままっすぐに針路をとる。

智が私に合わせて走ってくれてたものの、
30分ぐらい走ると私の足が限界になった。


「少し歩こう」

私が少し足をひきずるようにして走ったのを感じて智が歩き出した。

「ごめん」

「いや、オレもごめん。美姫のペースに合わせなくて」

横を見ると智が心配そうに私を見ていて目が合った。

なんだか信じられない。
もう今度こそ本当にあきらめてた。

智も多分おんなじようなことを思ってくれてるみたいで嬉しそうに笑って、
つないだ手に力がこもった。


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