神にそむいても


それから10分くらい歩いたと思う。
道が十字路になっていた。

「これってまっすぐに進んでいんだよね?」

「だよな。皇子まっすぐに行けって言ってたもんな」

私たちはおそるおそる直進する。


智がふいに立ち止まった。

ん?

横顔が険しくなってる。

「智?」

「しっ」

左の人差し指を唇に当てて“静かに”のジェスチャーをする。


カサ、カサ……。
草のすれる音が小さくどこからかきこえてきた。

こわくなってつないだ手をぎゅっと握ると、智は握り返してくれる。


前方から男が走ってくるのが遠くに見えた。

うそっ!!

「いたぞ~!」

男は振り返って後ろにいるであろう人たちに向かって叫んでる。


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